What is Jazz ?



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ジャズ練習法について 

                                      

11   ジャズ・トランペッターとしての戦略(その2)
 東京に居た頃、あちこちのセッションに参加するたびにどきどきしたものだ。今ではミュージシャンの修行の場として有名になった高田馬場某I店。トランペッターは自分一人かと思いきや、髪をオールバックにした若手トランペッターがもう一人・・「げ、上手そう」と内心焦る。しかも、リクエストしたのが超難曲の「Giant steps」ときた。焦る一方で、後で教えて貰おうと思っていた。曲が始まると、奴はいきなりFの音を2小節吹いた。斬新なアプローチ、と思いきや、今度はGの音を吹いた。3小節、4小節・・1コーラスほど目一杯Gを伸ばす。2コーラス目、再びG。また伸ばす。奴は6コーラスにわたってロングトーンを繰り返し、ソロを終えたのだ。みんな、呆然としている。奴が単なるロングトーン男だと認識したのは、曲が終わってから10分後のことだった。

 教訓=ハッタリは最初の4小節まで。

戦略その@「雰囲気にビビるな」
 自戒の意も込めた戦略だが、いかなる修羅場でもビビったら終わりだ。その点、Mr.ロングトーンは大した奴である。私の場合、ビビる、と言うよりも「エエとこ見せなあかん」と意識し過ぎた結果、メンタル面が崩れてしまいがちで、より自然体で演奏することを常に心掛けたいものだ。

戦略そのA「300をこなす」
 例えば「Oleo」やろうぜ、となったら、テンポ150でやることなど通常あり得ない。ことに、プロがやろうと言った時には、300は想定しておくべきだ。「できまへん」と言ったが最後、二度とステージには呼ばれなくなる。「Oleo」などのように、「速い」と予想できる曲ならまだしも、「Comfirmationやろうよ」と言われて「へいへい」と始めたら、それが250だったというような場合もある。そうしたいじめで泣かないためにも、曲によっては300までは対応できるようにしておくと、とても役立つ。

戦略そのBメジャー、マイナー以外のスケールで攻める
 昔、セッションを終えた後、「君はディミニッシュ使わないね」と指摘されて「へ?」と戸惑った。「知らんもん」とも言えず適当に誤魔化したが、特にバップではディミニッシュ、オルタードなどのスケールによるアプローチが皆無だと、色彩が薄くなってしまいがち。それ以前に初級者と断定されてしまう。断定されるのはまだしも、アドリブのコントラストを出すためにも、これらのスケール、フレーズはマスターしておきたい。ということは、必然的に12キーを考えざるを得なくなるということでもある・・

戦略そのC譜面を見ない
 これについては賛否両論があるかも知れないが、現実問題、飛び入りセッションなどをした場合に「There will never be another you」で譜面を持ってステージに上がれるかと言えば、それは厳しいだろう。ステージ上で「次、ステラ」「次、酒バラね」と言われ、譜面を探している物理的な時間もない。またAの事例のように、250などのテンポでいちいちコードを見ていられるかといった問題もある。セッションでリクエストされる頻度の高そうな曲を20曲程度は、譜面なしでも演奏できるようにしておくと、絶対に損はない。

戦略そのD大海を知る
 戦略ではないが、たまには旅先などでセッションに飛び込んでみるのもいいかも知れない。「もっと練習しなければ」と自分を追い込むような体験を自らかって出ると、それがモチベーションになる。要はどれだけ冷静に自分の不足した点を認識し、それに対して効率的な学習課題を考案でき、なおかつ課せられるかが大切で、まずは不足を認識せざるを得ない局面に足を突っ込むのが手っ取り早い。・

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